古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

正木晃、川北稔、菅原出


 3冊挫折。


 挫折55『マンダラとは何か』正木晃(NHKブックス、2007年)/第一章は面白かったのだが、二章以降はあまり必要のない内容だった。マンダラは瞑想や呪術と密接な関係にあるが、瞑想と呪術を知る人は少ない。マンダラ研究本が退屈なのはここを理屈で寄り切ろうとするためだ。図像としてのマンダラがあり、もう一方の極には瞑想がある。その距離の広大と密接を描くことは至難だ。


 挫折56『結社のイギリス史 クラブから帝国まで』綾部恒雄〈あやべ・つねお〉監修、川北稔編(山川出版社、2005年)/シリーズ「結社の世界史」の第4巻。各章の執筆者が違うため読みにくく、字数制限があるため底が浅くなってしまっているように感じられた。ヨーロッパの歴史はキリスト教と結社の歴史といっても過言ではないが、意外なほど研究されていない。貴重な文献なので目を通す必要がある。


 挫折57『日本人が知らない「ホワイトハウスの内戦」』菅原出〈すがわら・いずる〉(ビジネス社、2003年)/ハードカバーで出すような代物ではない。NHKブックス的な内容だ。狙いは悪くないのだが、読み物としては面白くない。タイトルに難あり。アメリカのシンクタンクを概観した内容だ。この新興国ではハード面においてもソフト面においても競争原理が上手く機能している。もう少しで読み終えるところだったが、時間がもったいないのでやめる。