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『ヘーゲル読解入門 精神現象学を読む』アレクサンドル・コジェーヴ/上妻精、今野雅方訳(国文社、1987年)



ヘーゲル読解入門―精神現象学を読む

著者プロフィール


 アレクサンドル・コジェーヴコジェーヴ、アレクサンドル)


 1902-1968.ロシア(モスクワ)生まれの著名なヘーゲル研究家・哲学者.ロシア革命の際にロシアを離れ,ドイツに亡命する.K.ヤスパースの指導の下で,ロシアの神学者ソロヴィヨフに関する学位論文を書く.1926年にフランスに移住する.同じロシア出身の思想家A.コイレと交流し,彼のヘーゲル研究に大いに影響される.1933年から39年まで,コイレの後継者として,パリの高等研究院でヘーゲル精神現象学』講義を行う.この講義には,M.メルロ=ポンティ,J.ラカン,R.アロン,G.バタイユ,P.クロソウスキー,R.クノーなど,第二次大戦後のフランスを代表する大知識人が多数出席し,彼らの思想形成に絶大な影響を与えた.この講義はR.クノーにより整理され,1947年に『ヘーゲル読解入門』のタイトルで公刊される(邦訳,国文社).戦後はフランス政府の高級官吏として,フランスの対外経済政策に影響を与え,ヨーロッパ統合のために外交的手腕を発揮する.1968年ブリュッセルで死去.彼は生前著作を公刊しなかったが,その死後,残された原稿のいくつかが編集・出版された.『法の現象学』『概念・時間・言説』(邦訳,法政大学出版局)と同様,本書もその一つである.その他に,『ギリシャ哲学史試論(三巻)』『カント』などがある.


【『権威の概念』アレクサンドル・コジェーヴ:今村真介訳(法政大学出版局、2010年)】