人間からとる情報の原則


 ソ連8月クーデターが起こった際、佐藤優は西側外交官としていち早くゴルバチョフが生存している情報を入手し、世界に伝えた。

 情報の世界で、ヒュミント(人間からとる情報)の原則は二つである。第一は、情報源がこちら側が関心をもつ情報を知ることができる立場にいるということだ。そして第二に、情報源が自分の得た情報を私に正確に教えてくれるということだ。この場合、ゴルバチョフ氏は外部との連絡を遮断されている。従って、ゴルバチョフ氏の安否について正確な情報をもっているのはクーデターを行っている側だけだ。ゴルバチョフ派、急進民主改革派の情報は憶測か、自己の政治的利害を反映した声明なので、情報としては価値がない。


【『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』佐藤優(新潮社、2005年/新潮文庫、2007年)】


国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)