キメラ

 このように異なった種の動物細胞がひとつの個体に共存する状態を、キメラという。言うまでもなくギリシャ神話に出てくる顔と体がライオン、胴体から山羊の頭が生え、蛇の尾を持つ怪物キメラから来ている。下半身が蝮の美女エキドナが奇怪な巨人デュポンと交わって生んだ数々の怪物のひとつである。同じ腹から生まれたスフィンクスや、ペルシャグリフォンもキメラの仲間である。日本では、源三位頼政が紫宸殿の屋根から射落とした鵺が、顔は猿、手足は虎、体は狸、尾は蛇で、まさしく典型的なキメラである。


【『免疫の意味論』多田富雄青土社、1993年)】


免疫の意味論