森山大道は無数の写真的断片を増殖させていく

 森山大道はコンパクトカメラを手にノーファインダーでシャッターを切り、無数の写真的断片を増殖させていく。そして、街中を擦過し続ける森山の身体は意図や目的といった人為を無化していく。その写真行為は、写真メディアの複製性や非人称性という潜在的可能性を最大限に発現するものである。盟友の中平卓馬が「カメラになった男」なら、森山大道はさしずめ「写真になった男」といえるのかもしれない。


【『森山大道、写真を語る』森山大道〈もりやま・だいどう〉(青弓社、2009年)】


森山大道、写真を語る (写真叢書)