思春期のジレンマ

 もっとも、ひとりテレビにかぎらず、あの人生の時期は、同じような相克と煩悶のなかで過ぎていくらしいのだ。いつも決められた何かをしなくてはならない。日々なすべきことが前もって定まっている。いつも誰かが目を光らせていて、いいつけ、要求する。こうしろ、ああしろ、忘れるな、もうすませたか、行ってきたか、どうしていまごろになって……いつも強制だ。押しつける。ぐずぐずするな、ちゃんとやれ……。ひとりのんびりさせてくれない。まったく、あのころときたら――


【『ゾマーさんのこと』パトリック・ジュースキント、ジャン=ジャック・サンペ絵/池内紀〈いけうち・おさむ〉訳(文藝春秋、1992年)】


ゾマーさんのこと