しかし、新人が出現して以来、科学技術の進歩にはおどろくべきものがある。生物的存在としてのヒトの脳は、実はほとんど変化していないにもかかわらず、人間の地球に対する影響力はすさまじい速度でエスカレートしているのだ。
何がこの変化をおこしているのだろうか。それは、人間が言葉を獲得して以来つくりあげてきた「文化」であると考えられる。「文化」は、脳の機能に大きな影響を与えるが、脳の中にあるのではない。「文化」は人間集団の産物であり、集団に属するメンバーによって学習され、世代をこえて伝えられる。「文化」はある意味で「獲得性遺伝」的な要素をもっている。