飢えと文学

 人間を人間ならざる者としてまなざす他者の視線が、人間の存在の深奥においてその人間性を蝕むのなら、飢えて死んでいくアフリカの子どもたちに文学は無力である。すなわち彼らに文学は意味をもたないと見なすこと、人間らしく生きることが奪われているからこそ彼らの魂が何にも増して文学を希求しているのだということを否定することは、彼らの人間性それ自体を否定することにほかならず、極言すればその視線のなかで、アフリカの子どもたちはすでに人間として殺されているとは言えまいか――。


【『アラブ、祈りとしての文学』岡真理(みすず書房、2008年)】


アラブ、祈りとしての文学