こんな言い方をすると、「まだ遺伝子に祈りがどういう影響を与えるかはよくわかっていないはずだ」という意見が出てくると思います。科学に全幅の信頼を寄せている人は特にそうです。
「科学的にきちんと説明してほしい」、こう言うに違いありません。
しかし、この言い方は一知半解(いっちはんかい)な人間に特有の不遜さが感じられます。「そんなことあるはずがない」と言うとき、その判断の根拠になっている自分の科学的常識の危うさには気づいていないのです。
【『人は何のために「祈る」のか 生命の遺伝子はその声を聴いている』村上和雄、棚次正和〈たなつぐ・まさかず〉(祥伝社、2008年)】
(※左が単行本、右が文庫本)