古本屋の覚え書き

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ラマヌジャンは千年に一人の天才

「偉大な数学者、シュリーニヴァーサ・ラマヌジャンの名声は羨望を超えていた。彼こそはこの一千年間にインドが生んだ比類なき天才数学者である」と、ある英国人が書いている。彼の直観の閃きにはその没後70年を経た今日の数学者でさえついてゆけない。その論文は今も秘密のヴェールに閉ざされたままだ。そして、彼の定理は今や高分子化学、コンピュータ、さらに(ごく最近のことだが)癌研究といった、生前は夢想だにしなかった分野へ応用されはじめている。そして、性懲(こ)りもなくこんな問いかけが繰返されている。「もし彼がもう少し早く発見されていたならば、また、もう少し長生きしたならば、一体どんなことになっていただろうか」。


【『無限の天才 夭逝の数学者・ラマヌジャン』ロバート・カニーゲル/田中靖夫訳(工作舎、1994年)】


無限の天才―夭逝の数学者・ラマヌジャン