テレビ局側はスポンサー以外に頭を下げるつもりがないのだろう。所詮、政治家や著名人の子弟のサロンと化している企業体だ。彼等はきっと、スポンサーを支えているのが消費者(=視聴者)であることにすら気づいていないのだろう。私は昨年1年間で1時間しかテレビを観ていない。
テレビのバラエティー番組のあり方を制作者らが議論するシンポジウムが11日、東京都内であった。放送倫理・番組向上機構(BPO)が番組づくりの見直しを求めたのに対する民放側の「回答」の一つだ。一般の視聴者らも交え、議論は3時間以上に及んだ。
シンポジウムは日本民間放送連盟が「バラエティー向上委員会」と題して開いた。在京民放キー局5社のバラエティー番組の制作者が1社10人ずつ舞台に上がり、BPOの委員や客席の視聴者と意見を交わした。
議論の出発点は昨年11月にBPOの放送倫理検証委員会がまとめた意見書だ。バラエティー番組に視聴者が不快感を抱いているとして問題点を指摘した。
シンポジウムでは、制作者側が「現場介入」と身構えている様子が明らかになった。制作者計50人に意見書への評価を問うと「うっとうしい」が22人。BPOに苦情を寄せた視聴者に対しては「もっと勉強してほしい」が37人。「視聴者が正しくないというなら、ほかの世界で番組をつくれば、という話になる」とBPOの委員がたしなめる場面もあった。
意見交換では現場の本音が相次いだ。「テレビで暴力を流すと(子どもが)暴力をふるうと言われても。そんなバカを育てた親が悪い」(TBS)。「クレームを過剰に考えすぎる必要はない」(テレビ東京)。
後半は視聴率について討論。「視聴率を取るため、制作者らの首がどんどん締まっている」(フジテレビ)、「作品としての完成度を考えた時、視聴率が落ちてもそこを我慢するのが必要」(テレビ朝日)、「視聴率がなければ素晴らしい番組ができるか、と問うのは民放にとってナンセンス」(日本テレビ)などと意見が分かれた。
無理に結論を出さないことが前提とはいえ、シンポジウムでは具体的な改善策は見えてこなかった。冗談半分に「私はまな板の上のコイ」とする制作者からは、本気で番組を見直そうとする意識は感じられなかった。「BPOは、どう変わってほしいと思っているのか」との視聴者の問いに、BPOの委員も明確に答えることはなかった。