1冊挫折。
挫折16『なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか』スーザン・A・クランシー/林雅代訳(ハヤカワ文庫、2006年)/ちょうど半分の110ページでやめる。雑誌記事にまとまる内容を無理矢理引き延ばしたような感じがする。表紙見返の顔と、大学院生時代に性的虐待に関する研究をしていた件(くだり)から察すると、著者は境界性人格障害であると思われる。自省的な視点の欠如が明らかである。更に、「普段のわたしは、ひじょうに冷静で現実的なタイプだ」(97ページ)という記述が感情の麻痺を示しているように感じた。睡眠障害(いわゆる金縛り)時のショックが記憶を捏造する、という主張は十分説得力がある。ただ、「信ずる者はその存在を確信する」という次元では、エイリアンも神様も全く一緒である。エイリアンを信じるのが非科学的であるならば、神を信じる人々の非科学性も声を大にして指摘すべきだ。