古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

新訳『木曜日だった男 一つの悪夢』チェスタトン/南條竹則訳vs『木曜の男』G・K・チェスタトン/吉田健一訳



木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)

 この世の終わりが来たようなある奇妙な夕焼けの晩、19世紀ロンドンの一画サフラン・パークに、一人の詩人が姿をあらわした。それは、幾重にも張りめぐらされた陰謀、壮大な冒険活劇の始まりだった。日曜日から土曜日まで、七曜を名乗る男たちが巣くう秘密結社とは。



木曜の男 (創元推理文庫 101-6)

 無政府主義者の秘密結社を支配している、委員長〈日曜日〉の峻烈きわまりない意志。次々と暴露される〈月曜〉、〈火曜〉……の各委員の正体。前半の奇怪しごくな神秘的雰囲気と、後半の異様なスピードが巧みにマッチして、謎をいっそう奥深い謎へとみちびく、諷刺と逆説と、無気味な迫力に満ちた逸品として、一世を驚倒させた著者の代表作。