1冊読了。
136冊目『テロル』ヤスミナ・カドラ/藤本優子訳(早川書房、2007年)/傑作。ガッサーン・カナファーニーやユースフ・イドリースほどのインパクトはないが、水晶の如き文体と構成が素晴らしい。ヤスミナ・カドラはアルジェリア軍の元将校だというのだから驚き。イスラエルに帰化したアラブ人医師アーミンが主人公。最愛の妻が死んだ。妻は自爆テロを行った。衝撃の事実に打ちのめされたアーミンは憔悴の中から妻の動機を探るべくベツレヘムへと向かう。イスラエルとパレスチナの狭間(はざま)でアーミンは裏切り者扱いをされる。妻の真実を知った時、アーミンに訪れたものは何だったのか? まあね、凄いよ。アラブ文学ってえのあ、底が知れないね。ローリー・リン・ドラモンドといい勝負だ。