「手紙 親愛なる子供たちへ」樋口了一


 何度か聴いているうちに腹立たしくなってきた(笑)。とどのつまり、「お前を育ててやったんだから、認知症になったら面倒をみてくれよ」といったレベルの歌詞なのだ。親子の情に甘え、寄り掛かり、依存する様が醜悪極まりない。感動させられてしまうのは、しなやかで誠実な響きのある歌声で、認知症の具体的な行動が丹念に描写されているためだろう。だが本当は、老いの入口で不安に怯える初老のだらしない姿を紹介しているだけである。既に団塊の世代がリタイアしつつあるが、高齢者の人口比が高くなっている現在、皆がこのように甘え始めれば、社会全体が機能不全となるほどのブレーキが掛かるに違いない。




手紙~親愛なる子供たちへ~