古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

ススナガ・ウェーラペルマ


 1冊読了。


 121冊目『気づきの探究 クリシュナムルティとともに考える』ススナガ・ウェーラペルマ/大野純一訳(めるくまーる、1993年)/クリシュナムルティにはまっている。これで2冊目。思考の束縛を解き放ち、答えを自分自身の中に見出す思想だ。クリシュナムルティの対話はブッダソクラテスを彷彿(ほうふつ)とさせる。神や教団など、人間が寄り掛かろうとする一切のものを否定している。徹底した否定の後に果たして何が現れるのか。彼の圧倒的な静謐(せいひつ)は驚くべき説得力に溢れている。本書はクリシュナムルティの短い言葉から、思索の形跡を綴ったものだが、潜水艦のように人間の深層を探っており、逆らい難い普遍性に富んでいる。聞き慣れない名前だが、著者はスリランカ出身。