井上薫


 1冊読了。


 100冊目『裁判官が見た光市母子殺害事件 天網恢恢 疎にして逃さず井上薫文藝春秋、2009年)/昨日読了。本書を読むまで、差戻後控訴審で死刑判決が下ったことを私は知らなかった。テレビを観ないとこういうことが、ままある。弁護側は直ちに控訴したようだが、結局のところ無駄な抵抗に終わることだろう。私は事件よりも本村洋という男に興味があった。多分、それまでは真面目でおとなしい性格だったに違いない。自宅で妻の死体を発見して彼は鬼と化した。彼は文字通り正義を体現した。彼は法そのものと化した。少年は彼にこそ裁かれるべきだった。そして彼に裁かれたのだ。本村以外の誰にこんなことができただろうか。たった一つの武器は言葉であった。彼の言葉はまるで聖典だ。私は彼を法律として採用したい。本書は、元裁判官の井上薫裁判員制度を前にして、法律制度の矛盾や問題点を指摘した内容である。いささかテクニカルな面に傾きすぎるきらいはあるが読みやすい。裁判員制度入門としてはうってつけだ。