渡辺一史


 1冊読了。


 96冊目『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち渡辺一史〈わたなべ・かずふみ〉(北海道新聞社、2003年)/快作。まさか、「三角山」が出てくる書籍に巡り合うとは思わなかった。私は幼児期をこの地域で過ごした。現在の実家も同じ区内にある。主役の鹿野靖明は、人工呼吸器を装着し、日常的に痰の吸引を必要とする筋ジストロフィー患者である。重度の身体障害者だ。鹿野はまだ介護保険も整っていない時代に、「独り暮らし」を決意。直ちに実行する。だが彼は一人では生きてゆけない。そこで数十人のボランティアを募る。そして鹿野は、「おとなしい障害者」ではなかった。彼は暴君であり、教育者であり、鼻持ちならない病人であり、痰吸引を普及させる伝道師であった。450ページ余りあるが一気読み。とにかく文章がいい。ボランティアの高橋雅之が撮影した写真も秀逸。