古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

山口絵理子


 1冊読了。


 71冊目『裸でも生きる 25歳女性起業家の号泣戦記山口絵理子講談社、2007年)/まあ面白かったよ。一日で読了。ビジネス書ではなく半生記である。小学生時代はいじめに遭い、中学では非行に走り、高校では柔道に挑む。柔道ったって生半可なものじゃない。埼玉県屈指の強豪校を破る目的で工業高校の男子柔道部に飛び込んだのだ。文字通り、血反吐(ちへど)を吐くほどの練習量。山口絵理子は埼玉県で優勝し、全国大会で7位を勝ち取った。その後、一念発起をして偏差値40の工業高校から慶応大学へ進学。留学をきっかけに国際貢献できる仕事を目指すようになる。在学中に、ラテンアメリカ向けの援助や融資を行う米州開発銀行で働く。念願の夢がかなったものの、そこは途上国の現場とは懸け離れた仕事場だった。自分が望んでいたのはこんな世界ではなかった――山口はパソコンに向かって、「アジア 最貧国」というキーワードで検索した。現れたのは「バングラデシュ」だった。1週間後、山口は飛行機のチケットを買った。こうしてバングラデシュに渡り、起業をし、バッグメーカーの社長となった。実に25歳の時である。たった一人で会社を興し、たった一人で工場と交渉し、たった一人で営業をしてきた。山口絵理子はよく泣く。だが、その涙は痛いほどよく理解できる。一直線に生きる山口は、まるで光のように走る。10代、20代の女性に是非読んでもらいたい。大人が読めば殆どの人が自分を恥じたくなるはずだ。日本にもこのような若者がいる。まだまだ捨てたもんじゃない。