岡真理


 1冊読了。


 70冊目『アラブ、祈りとしての文学』岡真理(みすず書房、2008年)/傑作。アラブ、パレスチナ文学を論じた作品だが、思想・宗教の高みに到達している。小説好きは元より、差別に関心のある人は必読。岡真理は「物語を読み解く」達人といってよい。虐げ続けられた人々の言葉にならない言葉を読者に伝えてくれる。物語は聞き手(あるいは読み手)が能動的に発信することで完結する。一気に読むと、ジェンダー論特有の小難しさが鼻につくが、それは著者が細部を丁寧に語っている証拠であろう。月刊誌『みすず』に連載された記事に大幅な加筆をしたとのことだが、主張にブレがなく書き下ろしに感じるほど。広河隆一著『パレスチナ 新版』(岩波新書、2002年)→ガッサーン・カナファーニー著『ハイファに戻って/太陽の男たち』(河出書房新社、1978年〈『現代アラブ小説集 7』〉/新装新版、2009年)→本書と読むことをお薦めしておこう。これが私にとってのパレスチナ三部作だ。