古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

ダイバーシティ(Diversity):ブリテンズ・ゴット・タレント2009


ブリテンズ・ゴット・タレント2009」で優勝したダンスユニット昨日紹介したリンクでは「ディバーシティー」となっているが、動画の発音を聞く限りでは「ダイバーシティ」のようだ。スーザン・ボイルは明らかに予選の時と異なっていた。メディアに露出したことで、彼女の中で何かが狂ってしまったのだろう。


 効果音に合わせたキレのよさやメリハリもさることながら、ダンスを変化に富んだ物語にしているところが彼等の魅力。審査員がスタンディングオベーションをしていないもの、完成度の高い構成によって「見終わった」感が強烈なためだろう。あのサイモンが最初のパフォーマンスを見終えて親指を立てた。この時点で既に審査の対象ではなく、完璧な仕事に対する満足感を示しているようにすら見えた。時に主役が大男から子供に変化するのも楽しい。英語がよく理解できないので心許ないが、どうやら複数の兄弟で構成されているみたいだ。


 最初のパフォーマンスがとにかく凄い。「炎のランナー」の細かい演技が秀逸。パーマの子供が頭を叩かれて後ろに一回転し、左側ではスローモーションで前転している。細部という細部が完璧。立て続けにもう二つの仕掛けを施している。これがわずか2分間で行われているのだ。


 やり取りも自然体で謙虚。何とも言い難い爽やかさが滲み出ている。そして明るい。ここに至るまで彼等は何千回、何万回も振り付けを繰り返してきたことだろう。見事なパフォーマンスは、鍛錬に裏づけられたものであり、まさに修行そのものだ。言葉を介さなくても、彼等のダンスは雄弁だ。