古本屋の覚え書き

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アレルギー

 アレルギーという言葉は、クレメンス・フォン・ピルケという学者が1906年に、豊富な臨床の経験と実験的事実をもとにさんざん思索したあげく作った言葉である。ギリシャ語のALLOS(変わる)とERGON(力)を合成して創ったものである。つまり、アレルギーというのは何かのきっかけで反応性が変化してしまった、そういう病的な状態を指す言葉である。アレルギーの本体は、この不明確な言葉でしか表現できなかった。それが、今日免疫反応と読んでいる生体反応のひとつであることがすんなり受け入れられるまでには相当な年月を要したのである。


【『免疫の意味論』多田富雄青土社、1993年)】