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松藤民輔の中国批判/『無法バブルマネー終わりの始まり 「金融大転換」時代を生き抜く実践経済学』松藤民輔

 松藤民輔が中国とロシアをこき下ろしている。世界を飛び回って商売をしているだけあって、その視点は確かだ。きっと、人口が多過ぎて、展望を持つことが難しいのだろう。そして中国政府は正確な人口すら掌握していないことだろう。

 中国は、つまるところ労賃の安さだけが取り柄の国家だったのである。およそモノづくりをする資格などない。
 モノづくりにはとりわけ、高いモラルが要求されるのだが、人が見ていないところでは手抜きをし、でたらめな商品をこしらえてなんとも思わない資質には呆(あき)れるほかない。
「ゴルフというスポーツが定着しない国家にはマナーは育たない」
 というのがわたしの持論なのだが、奇(く)しくもこれがもっとも当てはまるのが中国なのだ。


【『無法バブルマネー終わりの始まり 「金融大転換」時代を生き抜く実践経済学』松藤民輔講談社、2008年)以下同】

 中国という国家は体質的に、伝統的に、特許、技術、著作権等々の保護などまったく考慮しない。コピーや海賊版の比率は15〜20パーセントもあり、GDPの8パーセントにも相当するから、もはや一大産業だ。国際条約や協定を締結したところで、「上に政策あれば下に対策あり」で、わからないようにやればいいという体質なのだ。


 経済は川の流れのように、高いところから低いところへと流れる。グローバリゼーションの波はカントリーリスクを抱えながらも、価格競争という流れを止めることはない。


 だが、中国は低過ぎた。経済の流れは沼さながらに停滞し、澱(よど)んでいる。中国政府は外貨を獲得するためとあらば、国民をいかなる悪臭にもさらすのだ。そして、最大のリスクがこれ――

 中国の人民解放軍においては、1980年代に100万人、90年代に50万人、さらに2005年末までに20万人を削減してきた。「軍の近代化」の一環ではあるが、こうして軍人のリストラが進んだ結果、失業して生活に困窮する退役軍人たちが続出している。リストラされた退役軍人が生活の保障を求めて各地で立ち上がり始めており、軍歴を持たない胡錦濤国家主席が、この事態に解決策を見出せるかはまったく不明である。これこそ、中国が抱えるリスクでは最大の危機になるのかもしれない。


 独裁政権というのは、必ず軍隊がバックアップしている。当然ながら、リストラされた同僚に対する共感も生れていることだろう。不満がくすぶっていれば、引火するのは時間の問題だ。


 個人的には、中国がいいように利用されている側面もあるように思っている。アジアにはリーダー国が存在しない。文化や宗教も異なる。中国やインドに至っては多民族多言語国家である。モラルを欠いてしまえば、手の組みようもないだろう。問題は結局、教育に行き着く。