古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

将来は過去の繰り返しにすぎない/『先物市場のテクニカル分析』ジョン・J・マーフィー

 ・テクニカル分析は結果主義
 ・将来は過去の繰り返しにすぎない
 ・ダウ理論

『デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術』オリバー・ベレス、グレッグ・カプラ
『週末投資家のためのカバード・コール』KAPPA


 相場本の面白さは、マーケットの論理が人生の本質を浮かび上がらせるところにある。人生は割り切れないものであるが、相場は秒単位で1円の誤差もなく割り切られてしまう。評価損、追証……(笑)。


 まあ、この一文を読んでごらんなさいよ。見事な哲学である――

 過去において役に立ってきたことから、将来においても役に立つものと思われる。なぜなら、チャート・パターンは人間心理の研究に基づくものである。人間心理は変らないからである。“歴史は繰り返す”というこの最後の前提を言いかえれば、将来を理解する鍵は過去を研究することにある。すなわち、将来は過去の繰り返しにすぎないということである。


【『先物市場のテクニカル分析』ジョン・J・マーフィー/日本興業銀行国際資金部訳(金融財政事情研究会、1990年)】


 人間心理は変わらない。成長と堕落を繰り返しながらも、基準線はフラットなのだ。あな恐ろしや。ドイツの宰相ビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言った。賢者とは“変わらぬ人間心理”を読み解くことができる人物だ。


 敢えて断言しているところに、ジョン・J・マーフィーの達観が窺える。


帝国主義大国を目指すロシア/『暴走する国家 恐慌化する世界 迫り来る新統制経済体制(ネオ・コーポラティズム)の罠』副島隆彦、佐藤優