エリザベス・ムーン


 1冊読了。


 31冊目『くらやみの速さはどれくらいエリザベス・ムーン小尾芙佐訳(早川書房、2004年)/傑作。自閉症のリアリティはマーク・ハッドン著『夜中に犬に起こった奇妙な事件』(早川書房、2003年)に分(ぶ)があると感じたが、ストーリー性については本書に軍配が上がる。ネビュラ賞受賞作品。時期を同じくして発行されていることも興味深い。ダニエル・キイス著『アルジャーノンに花束を』(早川書房、1978年)を「選択後」とすれば、本書は「選択前」に重きが置かれている。人生は常に選択という十字路に立たされている。感情と理性が交錯し、時に過ちを繰り返しながらも、人は「よりよき人生」を歩もうと努める。主人公のルウは自閉症治療を受けるのかどうかが、大きなテーマとなっている。人生のほろ苦さを巧みに描いて秀逸。