取り憑かれる


 何かに取り憑かれたかのように集中し、没頭する。
 他のことはどうでもよくなる。
「狂」の字がフラッシュのように明滅し、稲妻のごとく閃(ひらめ)き走る。
 内なる暗黒物質の放出が、欲望と知性、堕落と修行の壁を粉砕する。
 全力で疾走し終えると、そこには空虚が待ち構えていた。
 幸福や不幸なんかはどうでもいい。
 ただ、ヒリヒリと焼け付くような余韻に浸(ひた)るだけだ。