古本屋の覚え書き

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米国では大人の半分が天地創造を信じている/『赤ちゃんはどこまで人間なのか 心の理解の起源』ポール・ブルーム

 アメリカ南部では、ダーウィンの『進化論(正式名称は「種の起源」)』を掲載している教科書が採用されないことは知っていた。でもまさか、大人の半分が神による天地創造を信じているとはね。

 とはいえ、この説(ダーウィン自然選択説)を絶対に受け入れない人たちもいる。米国では、大人の半分が、種の起源は神による創造だと考えている。ある研究では、大学卒業生の3分の1が、適切な人類学のコースを取った後でもなお、最初の人間が現れたのはエデンの園であり、「種の起源自体が神による創造だった」と考えていることがわかった。


【『赤ちゃんはどこまで人間なのか 心の理解の起源』ポール・ブルーム(ランダムハウス講談社、2006年)】


 運命論というのは非常に便利で、あらゆる出来事を運命で片づけることが可能だ。キリスト教の論理でいけば、イラク戦争も神が定めた運命であり、広島・長崎に原爆を落としたのも、また運命ということになる。ここでいう運命とは、“成り行き”という意味ではなく、全知全能の神が天地創造した時、そのようにプログラムされていたという意味である。ったく、とんでもない話だよな。本当に神様がいるなら、真っ先にアメリカに天罰を下しているはずだ。


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