武藤康史、アニック・カイテジ、フィリップ・ゴーレイヴィッチ


 1冊読了、2冊挫折。


文学鶴亀武藤康史/武藤氏の作品は初めて。書評というよりは、書誌学の匂いが強い。とにかく博覧強記。文章は読みやすいのだが、さだまさしと似た“あざとさ”を感じてならない。計算された技巧が裏目に出ていると思う。極端に文体を変えない限り、胡散臭さが抜けないことだろう。


山刀で切り裂かれて ルワンダ大虐殺で地獄を見た少女の告白』アニック・カイテジ/ルワンダもの。ページ数の帳尻を合わせようとしたのか、少女時代の余計な独白が多過ぎる。レヴェリアン・ルラングァ著『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』を読んだ後では、見劣りすると言わざるを得ない。比較するのもおこがましいほど。


ジェノサイドの丘 ルワンダ虐殺の隠された真実フィリップ・ゴーレイヴィッチ/やっと読了。後半になると文章の勢いが出ている。この作品が読みにくいのは、時間軸と空間軸が交錯しているため。史実を明らかにする以上は時間軸に沿って書くべきだろう。それでも、やはり経験者が書いた作品と比べると、客観的で貴重な情報が多い。ルワンダものに関しては、まだまだ時間の経過が必要なのかも知れない。今後も、ベルギー・フランス・イギリス・アメリカ側の立場から書いた作品が生まれると面白くなる。いずれにしても、賛否両論・百家争鳴という状況によって成熟が始まるのだと思う。RPF(ルワンダ愛国戦線)のポール・カガメ(現大統領)は軍人でありながら、哲人政治家の趣がある。多数紹介されているカガメの言葉が実に味わい深い。