フォー・セインツが35年ぶりに復活。ジジイと言ってもいい年代になっているが、何なんだこの声の滑らかさは! そして、やさしいメロディーが、まるで「みんなの歌」のように心地いい。
しかし、ここで歌われているのは、「定住以外の選択肢がない村意識」と「流動性の欠如したタコツボ社会」である。通奏低音になっているのは、「土地に束縛された農民のDNA」だ。そう、「一所懸命」は美しい。
確かに、郷里を離れて都会へ出てゆくと、アイデンティティが横揺れすることがある。私はないよ。地方出身者という言葉には、どこか田舎を去って捨て鉢になっているような雰囲気も漂う。
だが、見知らぬ土地へ行くことなくして「男の自立」はあり得ない。これこそが、「旅の目的」なのだよ。男は股旅、猫にマタタビだ!
と、このように本気で考えているんだが、如何せんフォー・セインツの歌声に心惹かれてしまう。やはり、私も農民の末裔なのだろう。一所懸命がんばります。