「イラクやアフガニスタンからの帰還米兵の80%が精神的ダメージを受け、正常に判断できる状態ではない」。元米陸軍大佐・元外交官のアン・ライトさん(61)が11日、沖縄市のくすぬち平和文化館で講演し、米国帰還兵局の統計データなどを報告。「軍がカウンセリングしなければ、何をするか分からない兵士を放置することになる」と警告した。
ライトさんは陸軍に29年間、外交官として16年間勤務。2003年に、ブッシュ政権のイラク戦争に反対して外交官を辞任し、平和を目指す活動を続けている。今回は九条世界会議の招きで来日、大阪や北海道、新潟などを回り沖縄入りした。
講演では米国防総省の発表などから、「米軍内では女性兵士の3人に1人がレイプされている。イラクやバーレーンなどで39人の女性兵士が戦闘によらない死に方をし、15人は死因に疑惑があるが、5人は自殺と発表された。うち2人の両親は虐待されて死んだとして、3週間前に国会に申し立てた」とした。
米兵の海外駐留中の性犯罪は、米国内の性犯罪者リストに乗らないと指摘。1995年、2000年に県内で暴行事件を起こした加害者がそれぞれ、米国内でも犯罪を起こしたとし、「日本の皆さんが米国領事館に、性犯罪者リストに載せるよう要求しほしい」と訴えた。
参加者からの質問に答え「レイプは増えてきている。メディアや勇気ある発言で数は明らかになってきたが、米政府は積極的に公表したり警告はしていない。軍隊に女性を勧誘するならはっきり危ないと示すべきだ」などと訴えた。
ライトさんは、13日午後6時から名護市労働福祉会館でも講演する。
【沖縄タイムス 2008-05-12夕刊】