古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

ガソリン税の一般財源化は、「道路利権」という思考停止が支えている


 現在、道路特定財源として徴収している税率分を一般財源化すると福田首相は明言した。新聞各紙はこぞって賛成している。

 政治家とメディアは「道路族から利権を取り上げる」ことに重きを置いて、国民生活を無視している格好だ。


 既に、ガソリン税の一部は一般財源化されている。「道路整備をするために、カーユーザーが負担している税金」が他のことに使われているのだ。これは、「参考書を買うからお金をちょうだい」と言った子供が、そのお金でゲームソフトを買っているようなものだろう。しかしながら、誰も問題にしていない。


 それにも増しておかしいのは、マスコミから自民党議員までが当たり前のように言うところの「道路族利権」という言葉である。利権構造がどうなっているのか、はたまたどこからどこへいくらの金が動いているのかなど、全く調べるつもりがないようだ。


 その道路族のボスが自民党古賀誠氏(自民党選対委員長)。現政権は郵政解散によってできたものだが、古賀氏は「土壇場の衆議院本会議採決では採決直前に退席し、棄権」した。今頃でかい顔をしているのが不思議でならない。小沢一郎氏同様、爬虫類タイプの顔つきは信用できない。

 道路族の頭目古賀誠はおそらく財界のドンでさえ震え上がらせる力を持っているのだろう。今井敬は古賀の凄まじい圧力に耐えかね、「自民党の人たちの勢いを見たら、とても止められない。彼らはどんなことがあっても道路をつくりたいのです」と委員会のメンバーにこぼしたという。
クレイジーパパ

「誠大橋」に続き「誠ロード」が29日開通


 古賀誠の地元・福岡で、29日、国交省所管の地域高規格道路有明海沿岸道路」(総延長55キロ)が部分開通した。福岡県大川市大牟田市を結び、古賀の選挙区のど真ん中を貫く自動車専用道路だ。総事業費は2380億円。案の定、古賀の利権にまみれていて、地元では“誠ロード”と呼ばれている。
 01年以降の3000万円以上の入札結果を情報公開請求したところ、この道路工事の受注額は計425億円。そのうち、着工前年の99年以降に古賀に献金した業者の受注額は185億円、全体の44%も占めていた。しかも、献金業者の落札率が平均96%と異常に高いのである。
 古賀の利権道路はまだある。通称“誠橋”こと「朧大橋」。民主党菅代表代行に「ムダの象徴」とされた橋だが、最も金額が大きい27億円の工事の落札率は99.86%だ。
 古賀の威光といわれる福岡県所管の道路建設は14カ所、トータルの事業費は3312億円に上る。道路特定財源は50〜55%つぎ込まれているが、やはり、これらの道路を受注した業者のうち、古賀に献金している業者は49社、9000万円に達していた。
 百歩譲って、地元の役に立っているならともかく、この“誠ロード”は悪評フンプンだ。ある地元住民がこう嘆く。
「地元の人は自動車専用道路なんて使いませんよ。下道を走っても、それほど時間は変わらんけんね。むしろ町に下りてくる人が減って、商店街がさびれるかもしれないと、みんな心配しているくらいですよ」
 それでも、誠ロードは2023年まで工事が続く。自民党の道路族が福田提案を歯牙にもかけないのも当然だ。
日刊ゲンダイ 2008-04-01】