『セブン-イレブンおでん部会 ヒット商品開発の裏側』吉岡秀子

 セブン-イレブンの礼賛本。褒めるからにはそれなりの理由がある。


 1974年、江東区豊洲に第1号店をオープン。6年後の1980年に1000店舗を達成し、2003年には遂に1万店舗を突破したというのだから凄い。破竹の快進撃だ。


 小売業で業績がいい会社は、必ず緻密なマーケティングを行っている。貪欲(どんよく)なまでに消費者と向き合う。そしてマーケティングの成否が売り上げにそのまま現れる。


 今では当たり前のように売られているが、当初、おにぎりがヒットするとは誰も予想してなかった。では、どのような商品開発が行われていたのか。いい素材を使用するのは当然だが、名人に握ってもらったおにぎりの空気含有量、握る圧力まで調べた。手づくり感にこだわった製造機は、ご飯をクルクルと回して丸く整形し、直系1センチほどの棒で穴をあけて、そこに従業員が具を挿入する。手づくりと何ら変わりがない。この機械を開発したことで、初めて年間10億個を超える販売数を記録した。


 雑誌を読むような気楽さですいすい読める。取り上げられた商品は、おにぎり、メロンパン、調理めん、おでん、サンドイッチ、カップめん、アイスクリーム、お菓子&デザートの8品目。


 1998年に鈴木敏文会長が近所のセブン-イレブン冷やし中華を買って食べた。役員試食会で味見はしているものの、おいしくない。


「今すぐやめろ!」


 販売中止が商品本部へ伝えられ、店頭から冷やし中華が消えた。その後、鈴木会長から11回のダメ出しを食らって、やっとの思いで新製品が完成した。現在では、スープの味も春は甘め、夏はさっぱり、秋はコクを深くして変化をつけている。


 そして白眉はタイトルにもなっている「おでん部会」だ。それぞれの具によって部会が存在するのだ。大根部会、豆腐部会、つゆ部会などなど。全国からベンダー(販売業者)や専門メーカーが毎週、ミーティングを行って、デビューさせる具を決定する。その上、2006年からは全国を6エリアに分けて、異なるつゆが使われている。確かにセブン-イレブンのおでんは美味しい。


 商品開発のためには高額の機械をつくり、工場まで建ててしまう。今では全体の6割が自社製品だという。そして、何と言っても見逃すことができないのは、同一地域に一気に店舗展開する「ドミナント出店戦略」だ(驚くべきことに青森・秋田・富山・石川・福井・鳥取・島根・香川・愛媛・徳島・高知・鹿児島・沖縄にはまだ出店してない)。これは配送時間を短縮して、食品の鮮度を保つのが目的で、工場からセブン-イレブンには1時間で届いている。


 最後に鈴木会長の痺れる言葉を――

(※競合店の視察は)しません。見る必要がないからです。もう30年以上、社員に言い続けていることですが、競合店がどうかなんてことはまったく関係ない。ぼくらが見なきゃいけないのはお客様です。お客様の立場に立って考える。そしてコンビニとは何かを正しく理解し、基本を押さえていかなくては、いい商品開発はできません。