フジテレビ江原氏番組/「倫理に反する」放送倫理検証委員会

江原氏番組「倫理に反する」…フジ「あるある」の教訓生かせず


 NHKと民放が作る「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の放送倫理検証委員会は21日、フジテレビが昨年7月に放送したバラエティー番組「FNS27時間テレビ『ハッピー筋斗雲』」内でスピリチュアルカウンセラー江原啓之氏(43)が登場したシーンについて「倫理に反する」との審議結果を発表した。検証委は「(フジテレビ系列である関西テレビの)『発掘!あるある大事典2』の教訓が生かされていない」と反省を促した。


「初めに霊能師タレントありきの企画で、出演者への配慮を決定的に欠き、制作上の倫理に反する」―。評論家の立花隆氏らが委員を務めるBPOの検証委は「ハッピー筋斗雲」でのスピリチュアル企画を厳しく断罪した。


 問題となったのは秋田県でボランティア活動に取り組む美容院経営の女性を紹介したもの。検証委が批判したのは「ドッキリカメラ的な」手法と江原氏による「スピリチュアルカウンセリングなるもの」。強引なサプライズ企画には女性に対する気配りやリスペクトがうかがわれないとしている。


 さらにカウンセリングについて「江原氏の霊視なるものを見せることに主眼が置かれている。カウンセリングは受ける本人の同意と内容の守秘が原則。同番組はバラエティー、あるいはスピリチュアルを口実に、この原則を無視している」とし番組の構成・演出を「スピリチュアルカウンセラーのPRの趣で飾られている」と指摘した。


 放送後、女性は「善意の放送の形を取りながら自分や周囲の人たちが傷つけられた」と抗議。話し合いの結果、フジテレビは内容をフォローする番組を昨年10月に放送したが、おわびや訂正のクレジットを入れたものではなかったという。


 検証委は〈1〉霊能師ありきの企画・構成。〈1〉を成立させるために〈2〉女性の美容院を「経営難」とするなど、裏付けがないのに断定的な表現があったと認定。昨年発覚した「発掘!あるある大事典2」のねつ造問題を踏まえ「教訓が生かされず、依然として『面白さ』を第一とする演出を繰り返している」と結論づけている。


 批判に対しフジテレビ広報部は「女性にご心労、ご迷惑をおかけしたことをあらためておわび申し上げます。今回の意見書を真摯(しんし)に受け止め、今後の番組制作に役立てていく所存です」とコメントした。フジテレビでは3か月以内に改善策を検証委に提出する。


 声楽家としても活動している江原さんは、著作がベストセラーになるなどスピリチュアルブームの牽引(けんいん)車として人気を集めている。しかし最近では経歴詐称疑惑や、テレビ出演中に亡くなっていないはずの女優の父親を亡くなったものとして霊視したと週刊文春で報じられるなど、懐疑的な見方も出始めている。

問題となった「ハッピー筋斗雲」の企画


 東北地方で美容院を経営するAさんは、中越地震被災者やいじめ問題などで苦しんでいる学校関係者に、無償で亡き父の名を冠したりんごを送っていた。


 しかし、美容院の従業員が番組あてに「りんごをタダで送るため、美容院の経営が苦しくなってしまった。亡き父がいれば何と言ってくれるのかとAさんが悩んでいる」との手紙を出す。


 これを受け、番組は東京で架空の講演会を準備。Aさんが講演会場に登場すると、ウソの講演会だと明かされる。


 そこへ突然、江原氏が登場。悟空が「お父さんのメッセージを伝えていただきたい」と語ると、江原氏は「お父さん、いらっしゃってるの。後ろにいるのね」と述べてから、亡き父の言葉として「Aさんが悪い。自分自身の生活を度外視してはだめ」などと発言する。


 不審そうな表情のAさんに、江原氏は「心のごはんと食べ物のごはんの両方がないと」と説く。最後に「亡き父からのメッセージによって、Aさんにいつもの笑顔が戻った」というテロップとナレーションが流された。


【スポーツ報知 2008-01-22