古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

『暴かれた「闇の支配者」の正体』ベンジャミン・フルフォード

 実のところ、りそな問題はジャーナリストが扱う危険なトピックのベスト3に入る。この問題の“闇”を知り、追求した人たちは、ことごとく不審な死を遂げたり、微罪逮捕されたりするからである。

朝日監査法人の会計士・平田聡さん

 2003年2月、自宅マンションから飛び降り自殺。実質国有化の直前である。平田さんは、りそな銀行を担当する朝日監査法人(現・あずさ監査法人)に所属していた。りそな銀行の経営状況を熟知しており、経営危機を“演出”したい政府筋の激しい圧力を受けていたと言われている。その後、朝日監査法人はりそなの監査を降りた。

経済評論家・植草一秀さん

 周知の通り、覗きと痴漢の容疑で2度逮捕され、マスコミをにぎわせた。しかし、これは2度とも“国策逮捕”である可能性が極めて高い。植草さんはりそな国有化問題で小泉=竹中がやったことを丹念に調べていた。逮捕されたのは、りそな問題を追及する本を出版する直前のことである。
 植草さんは、覗きや痴漢で逮捕される前からテレビ出演や執筆活動に対して、正体不明の強い圧力を受けていた。(中略)警察・検察は、とても痴漢の捜査とは思えないきわどいことをやっている。植草さんの信用を貶め、社会から“抹殺”したがっている権力の意図がはっきり読み取れるはずである。

国税調査官太田光紀さん

 2006年9月、りそなの脱税問題を調査していたといわれている国税調査官が、手鏡で女子高生のスカートの中を覗いた容疑で神奈川県警に逮捕されている。りそなのことを真面目に調べている人は、必ず同じやり方で覗きをするのだろうか。本当に不可解だ。“闇の権力”はこのような形で植草さんや太田さんのあとに続こうとする正義感に燃えた人たちに“警告”を発しているのかもしれない。
「この問題に深入りすると、お前も同じ目に遭うぞ」と。

朝日新聞記者・鈴木啓一さん

 2006年12月18日、「りそな銀、自民党への融資残高10倍」という大スクープ記事が朝日新聞一面に掲載された。記事によれば、自民党に対する大手銀行の融資残高は2005年末で80億円に達するが、りそな銀行が54億円と大半を占めているという。多くの銀行は政党融資に対して慎重だが、りそなだけが突出して融資している。りそなは旧大和銀行時代から永田町に対して国政選挙の資金を提供しており、この融資は事実上の政治献金にほかならない。りそなが自民党政権とズブズブの関係にあることを、満天下に暴露した形になった。
 この大スクープ掲載の前日、朝日新聞の鈴木啓一論説委員が死体で発見された。海に飛び込んで自殺したという。鈴木氏はリクルート事件解明のきっかけを掴んだ敏腕記者で、一貫して大企業、政治家の不正を告発してきた人だ。自殺するような動機も見つからず、朝日新聞社内にも動揺が広がっている。