古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

太田光

 NHKの番組や「太田総理」で、ラディカルなメッセージを放ち、独特な言葉の遣い方からは、思想的な格闘が窺える。


 だが所詮、「見ていて面白い」類いのものである。太田の主張が時折わかりにくくなるのは、態度としてのリベラルではなく、リベラルであることが目的と化しているためだろう。


 本気で世の中をどうこうしようという真剣さは皆無で、考えること自体に快感を覚えているような節(ふし)がある。


 太田の言論に強靭な根が感じられないのは、高校時代に友達が一人もいなかったことと関係しているように感じる。議論を戦わせるのは上手いのだが、議論が深まることが殆どないのもそのためだろう。


 政治家に対し、真っ向から自分の意見を述べる姿勢には好感が持てる。だがその一方で、若手芸人を小馬鹿にしがちで、見事に相殺(そうさい)されてしまっている。相方の田中に助けられている面も以外と多い。


 一言でいえば、「考える自慰主義者」といったところだ。