拉致被害者・金英男さん、家族と対面
6月28日、金英男さんと家族の対面が実現した。母親の慟哭(どうこく)が28年という歳月の重みを改めて感じさせた。一方、韓国政府が「北朝鮮による拉致」と認定した本人は、サバサバした表情でシナリオ通りの演技を強いられているようだった。
北朝鮮は、嘘を強制する国家であることが、よくわかった。子供の名前まで嘘で塗り固めていた。「嘘つきは泥棒のはじまり」である。北朝鮮が盗んだのは、他国の罪なき人々だった。
拉致被害者を放置している時間が長くなればなるほど、我々はこうした国家の存在を認めることになりやしないか? それが一番怖い。
ケン・フォレットが書いたノンフィクション『鷲の翼に乗って』(集英社、1984年)では、イランで投獄された社員を救い出すために、ロス・ペロウ会長が傭兵を使ってイランに乗り込んだ。
ガードの固い共産圏で同様のことを行うには困難が付きまとう。そこで、私は日本政府に提案したい。
まず、拉致に対する韓国の世論の動向をしっかりと掌握する。その上で、拉致被害の実態を広く韓国国民に知らしめる。そして、韓国大統領選挙の際、北朝鮮への太陽政策に批判的な候補者を日本が支持する。
「一人の生命は地球よりも重い」と言われるが、拉致被害者を見る限りでは嘘だ。「一人の生命は国益よりも軽い」と言わざるを得ない状況となっている。誘拐犯を野放しにして平然としているのが、国際政治の実態だ。