古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

ニュース拾い読み・書き捨て 22

 今日付の読売新聞社説より――

 6社には、「発注ミスにつけ込んだ行為だ」と非難する顧客の声が電話やメールで寄せられた、という。
 与謝野金融相は「美しくない行為だ」と述べた。自民党内でも「火事場泥棒」と批判する声が上がった。
 発行済み株式数の42倍に上る売り注文に証券会社が「発注ミス」と気づきながら、一儲(もう)けしようとして大量の買い注文を出した、とみられても仕方がない。
 その行為は、違法ではない。だが、多くの批判を招いたように、割り切れない感情を覚えるのも自然だろう。


 新規上場したジェイコム株の一件で、証券会社6社が利益を返還することになったという。社説の趣旨がスッキリしないのは、「大きなものは叩いていい」という安易な論調となっているため。どうせ批判するなら、与謝野氏の発言を俎上(そじょう)に載せるべきではないのか? 財務省ベッタリで、借金まみれの日本を立て直す気もない人物が吐く「美しさ」って一体どんなものなんだ?▼この文章の狡(ずる)さは最後の部分にある。これを入れ替えるとどうなるか? 「多くの批判を招いたように、割り切れない感情を覚えるのも自然だろう。だが、その行為は、違法ではない」。ホラ、趣旨が引っくり返るでしょう(笑)。この手の文章が一番、胡散臭い▼凌ぎを削る資本主義社会では、相手のミスに付け込むのは常套手段。野球を見よ。野手がエラーすりゃ、走者は賢明に走っているではないか(笑)▼大体だな、前NHK会長だった海老沢勝二なんぞを、“調査研究本部顧問”として招じ入れるような読売の主張なんざ、当てにできないよ。




 大前研一氏によれば、「みずほ証券が“誤発注”を公表しなかったため、丸一日、取引できたことが混乱の最大の原因。東証のシステムには不具合があったため、止めることができなかった。だから、みずほ証券が『自分たちのミスなので、売買を停止して下さい』と言うべきだった」とのこと。