古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

投票行動をコントロールしようと企図するメディア

 今日は私の誕生日である。不惑を越えて41になった。感慨深いものは何も無い(笑)。


 今日という日を記念して、朝日新聞の社説(2004-07-06)の通訳を試みた。オピニオン紙を気取ってきた朝日だが、共産主義に翳りが見え、米ソの冷戦構造が崩壊してからというもの、分裂症気質を曝(さら)け出している。この社説に至っては、来る11日に行なわれる参議院選挙の投票をコントロールしようと企図(きと)した内容で、メディアの風上にも置けない所業だ。政治的な意図で紙面が膨れ上がっているような新聞は、どこぞの党の機関紙にでもした方がよし。

「反米」発言――朝日や毎日のことですか


 参院選の投票日まで1週間を切った。各紙の情勢調査は、小泉首相が就任以来の苦境に立たされていることを示している。だから焦りもあるのだろう。首相が街頭演説で、自衛隊イラク多国籍軍に参加させた手順に異を唱えたマスコミを「反米」だと決めつけた。


▼あと1週間しかないから、必ず投票には行ってね。各紙の意図的な設問を用意した情勢調査によって、小泉首相を苦境に追いやることに成功した。だから焦っているのだと思いたい。首相がオピニオン紙である「アカヒ新聞」を「反米」だと暴露してしまった。




「野党の皆さん、一部の反米のマスコミの皆さんは、自分に相談しないで勝手に決めたと批判している。批判する方がおかしい」「世界の首脳といる時に『国会、野党と相談します』、そんなことで総理大臣の役割が務まりますか」


 朝日新聞毎日新聞の社説は、小泉首相多国籍軍への参加を真っ先にブッシュ大統領に伝えたことや、国会抜きで閣議決定したことを批判した。それを「反米」と言うのなら聞き捨てならない。


 たとえ首相の言う通り、活動がこれまでと変わることはないとしても、多国籍軍への参加は、憲法外交政策の根幹にかかわる大きな政策転換だ。国会に諮らずに決めて済む問題ではない。


 多国籍軍の指揮下には入らないからご安心を、という説明にも、はいそうですかと納得できない。だから、世論はいまなお参加に反対が多数派なのだ。


▼オピニオン紙ってえのあね、自分が批判されると意見をもって切り返さずに、世論を持ち出して、批判を圧殺するのだよ〜ン。それも、自分達で作成した世論結果を引っ張り出してね。




 それにしても、それがなぜ「反米」なのか。イラクで日本人が人質になった時に、自民党議員が国会で「反日的分子」という言葉を使ったが、一国の首相ともあろう人までが、とんでもなく乱暴なレッテル張りで国民の気を引こうとする。憂慮すべき風潮だ。


▼それにしても「反米」などと我々の正体を暴くとはけしからん! 乱暴なレッテル張りは、我々の巧妙なオルグ活動に水を差すものだ。




 朝日新聞イラク戦争に反対し、自衛隊の派遣にも反対した。反米だからではない。ブッシュ政権の単独行動主義が世界や日本、また米国自身にもたらす悪い影響が心配でならないからである。


▼反米だからではない。嫌米だからだ。自衛隊の派遣に反対したのは、自衛隊の存在を認めてないからだ。「悪い影響が心配でならない」のは、巡り巡って赤狩りが始まるかも知れないからだ。




 多様で開放的な米国社会や、民主主義の懐の深さに私たちは深い敬意を抱いている。9.11事件で米国民が受けた衝撃と、テロに対する怒りにも共感する。日米安保条約は大切だとも考えている。だからこそ、国際協調をないがしろにして力に頼り、迷走してしまったブッシュ政権に異議を唱えざるを得ないのだ。


▼反ブッシュの声が挙がる開放的な米国社会や、左派活動家が自由に動ける民主主義の懐の深さに私たちは深い敬意を抱いている。9.11事件を犯さざるを得なかった彼等の怒りにも共感する。日米安保条約は要らないよ。




 首相には世界や米国のありのままの姿が見えているのだろうか。多国籍軍への参加国は増えていない。米国内ですら、過半数の人々がイラクへの派兵を誤りだったと考えているという世論調査の結果も最近公表された。小泉首相の物差しでは、それもこれもみな「反米」となるのだろうか。異なる意見には耳を貸さない首相の姿勢は、米国が世界に誇る伝統とは相いれないものだろう。


▼首相は朝日新聞をちゃんと読んでいるのだろうか。アメリカ嫌いの我々の言論活動が功を奏し、同調する人々も出てきているのに。今後も我々は、反米ではない振りをしながら、巧妙な情報操作を盛り込みながら、人道的な意見を織り交ぜながら、左派活動家に追い風を送りたい。




 米国との良い関係は大事である。だがそれを保つやり方はいろいろあってよい。米政権のご機嫌をとろうと無理を重ねれば、国民の間にかえって嫌米的な空気を育むことにもなりかねない。


▼と嫌米ムードを守り立てる。ここで「反米」ではなく「嫌米」と表記していることは注目に値する。これがアカヒ新聞の本音だろう。




 首相の「反米」発言は、投票にあたって目を凝らすべき争点をまた一つ浮き彫りにしてくれた。


民主党共産党に投票せよ!


 この後に、「近鉄買収話――話ぐらい聞いたらどうか」と続いている。大資本ブルジョワジーを粉砕せよ! ってことなんだろうね。


 というわけで、「出口調査は民主党に清き一票を」キャンペーンに便乗したい。