古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

ニュース拾い読み・書き捨て 18

北朝鮮との国交回復に伴う明暗


▼何ともやり切れない思いに駆られる。記念すべき国交正常化は幕を開けた途端、拉致された方8名の死という事実からスタートした▼いずれにせよ、一人のいのちが国家よりも軽い現実に目を覆いたくなる。国家という怪物にとって人間は所詮、手段でしかないという証左だろう▼拉致事件を20年以上に亘って放置自転車の如く置き去りにしてきた日本政府も全く同様である。政治の世界は新しい世紀となっても尚、経済と思惑で動いている。その犠牲となった方々の御冥福を祈ると共に、御遺族の血涙を忘れることがあってはなるまい▼また、こうした事態になると、必ず馬鹿どもが現れる▼彼等が行なっていることは、拉致と同等の行為である▼暗澹(あんたん)たるスタートとはなったものの、今後の努力によって友好が深まりゆくことを祈らずにはいられない。

基礎学力の低下 予想以上に深刻


▼これは読売新聞に掲載(09-18日付)された大学院生による投書▼学習塾のアルバイトをしていた時の体験を綴っている。云く、「中学生でもかけ算の“九九”を完全にマスターしてない」、「(それがために)割り算になると、講義が先へ進まない」、「数学以前の国語力の低下」が目立つ、というもの▼これは学力低下という次元の問題ではないだろう。授業が成立してないか、あるいは、教員があきらめきっているということではないのか?▼「九九」なんぞは小学校低学年で習うものだから、暗記することに苦痛を覚えるよりは、何だか面白いから覚えてみたという印象が残っている。出来なかったことが出来るようになった喜びみたいなものを強く感じた記憶もある▼それができてないとは一体、どうしたことか。根っこにあるのは教育的人間関係と家庭的人間関係、更には社会的人間関係が崩壊しているという現実のような気がしてならない▼まあ、「九九」ができなくったって生きてはいけるだろう。だが、こんな野郎は、貸した金の勘定も出来ないだろうから、あんまり付き合いたくはないよね。