古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

ニュース拾い読み・書き捨て 4

 豪快な塩まきで人気を読んだ元関脇の水戸泉が今月9日、国技館で断髪式。5歳の時に父親と死別。母の手一つで育てられる。中学卒業と同時に角界入りしたのも「母を楽にさせたい」との思いからだったという。故障に泣かされ続けたが、92年の名古屋場所で平幕優勝。水戸から駆けつけた母親はむせび泣いた。その母上も6年前に他界。断髪式には親を亡くした子供と保護者200組を招待。(朝日新聞 6月6日付夕刊)


▼決して強い相撲取りではなかったが、母親思いの優しさが胸を打つ。番付表には現れることのないドラマを垣間見て、人間を知る。

◎特集「田中外相vs外務官僚」(6月10日付朝日新聞


 論者は4名。以下簡略して紹介しよう――
 

吉田康彦大阪経済大学法科教授】「その(外交機能不全の)責めは田中氏にある。彼女の攻撃的性格と直情径行が問題。天下り先の少ない外務官僚を支えているプライドを傷つけ、士気低下を招いた」

クライン孝子【ノンフィクション作家/フランクフルト在住】「大臣本来の権限を行使しているに過ぎず、責めることはできない。自民党中枢・外務省・マスコミのアメリカ本位という姿勢が暴露された。支持」

佐伯啓思京都大学教授】「数々の問題は外相の資質を問われて然るべき内容。田中氏の関心は、外交ではなく外務省という内政に向けられている」

宮崎学【作家】「田中氏の喧嘩の仕方は脇が甘い。感情まかせの“おばちゃんの論理”だ。報道をよく注意して見ると、攻撃側の情報が大々的に報じられ、少し送れて『少し違う』『だいぶ違う』『全然違う』というニュースが小さく掲載されている。記者クラブ制度を中心とした大マスコミの報道システムは、官僚に至極都合の良いものであることを示している。“おばちゃんの論理”は好きではないが、真紀子氏を応援したい」


▼ちょっと前になるが高村薫も朝日紙上で真紀子大臣をこき下ろしていた▼官僚をまとめ切れずに、悪口を公言するなど問題外、ってな内容でしたな▼端から見た印象は“客寄せパンダが場外乱闘をしている”といったところか▼彼女が官僚を悪し様に言うのを聞いて、庶民の声を代弁してくれているような錯覚もあろう▼血税で競走馬を買う連中と戦うジャンヌ・ダークと見てる人もいるかもね▼まず間違いないのは、双方とも、国民が信じてやまない常識や良識とは、全く懸け離れた論理で動いていることだ▼所詮、大臣と官僚の利権が一致しないという程度の問題であろう▼国民が面白がっている内に、永田町をコソコソ動き回っている手合いが、本当の実力者なんだろうね。


田中真紀子という存在


ラテンアメリカウルグアイという国がある▼女性の活躍が際立っているのでご紹介を▼公務員の4割近くが女性。裁判官の過半数も女性。最高裁長官を女性が務めたことも▼大学生も女性の方が多い。法律的には当然、男女平等だが、女性の意思だけで離婚できる「離婚法」もある。更には、女性が長時間立ちっぱなしで仕事をするのはよくないとの配慮から、職場に十分な椅子を用意しなくてはならないという「椅子法」というのがあるそうだ。妊娠中や産休の間は解雇してはならないことも定められている▼我が国を振り返って見る。あれ? どこに男女平等があるのだろう? 私の周りにはないようだ。