「お母さんは“黄金”」


 母親が我が子を殺し始めるようになった昨今、世間は並大抵のことでは驚かなくなった。特攻隊が叫んだあの「お母さん」はどこへ行ったのか。自分の都合・勝手・わがまま・欲望・体裁を最優先にした時から、お母さんはいなくなった。静まり返った場所で声に出すと、涙ぐむような思いが込み上げ、温泉のように感謝の念が湧いてくる言葉、それが“お母さん”ではなかったか。


 先日、ナイジェリアのヨルバ族に伝わる『お母さんの歌』を知った。

 お母さんは『黄金』。それは、とても、お金には替えられない。
 お母さんは、9ヶ月も10ヶ月も、お腹の中で育ててくれた。
 お母さんは、3年間も背中に背負って育ててくれた。
 お母さん、本当にありがとう。私はお母さんを大切にします。


 こんな素敵な歌が歌い継がれている社会では、子が親を殴るようなことはないだろう。何の変哲もない言葉で、ありのままを歌にまでした事実に心打たれるのは私だけではあるまい。


 感謝即決意と締め括られているところに人間性の豊かさが溢れている。お母さんの瞳を見つめながら歌うアフリカの子等が目に浮かんでくる。