人間を追求する慟哭と英知の書
ガンのため右腕を切断した女流画家。迫りくる死を直視しながら左手で描き出したものは何か? 雄渾の筆致が解明する感動の人間論!
自分の死が確実に迫ってきたのを知ったとき人は何を考え何をなしうるか。2人の幼児と短い自己の人生への決別のため、慣れぬ左手に絵筆を持ちかえて奇蹟的に描いた「湖の伝説」シリーズ。決定的な不幸のどん底で、なおかつ生きとし生けるものへの愛と信頼を画面一杯に訴えて夭折した女流画家の生涯。梅原猛がライフワークの日本学の仕事を中断して執筆した本書は、読者を慟哭と英知の世界にひきずりこむ最も現代的な愛と死と生の書である。
【帯より】