古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

『夜にはずっと深い夜を』鳥居みゆき(幻冬舎、2009年)



夜にはずっと深い夜を

 独特な不条理世界を演じるコントで異彩を放つお笑い芸人、鳥居みゆきがはじめて書き下ろす不幸な女たちの狂気の叫び。本書に登場するのは、過剰な愛情、コンプレックス、欲望を抱えた女たち。「きたないものがきらいなきれいなお母さん」「真夜中のひとりごとが止まらないシズカ」「花言葉で未来をうらなう華子」「地獄にとりつかれた女」「同窓会であだ名が思い出せない佐々木さん」「一匹の虫から人生が狂いはじめるのり子」など、壊れゆく女たちの孤独が不気味な挿画とともに見事に表現されています。一行読むごとに世界は歪み、感情はえぐりとられることでしょう。テレビよりもさらに深く濃い鳥居ワールドに戦慄してください。


 評価が高い。鳥居みゆきクリシュナムルティを読んでいるので侮れない。