古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

世界が震撼!原発ショック 悠長な初動が呼んだ危機的事態 国主導で進む東電解体への序章

 ある政府関係者は東京電力の対応に怒りをあらわにする。
「(3月14日に)2号機の燃料棒が露出したとき、東電側は『全員撤退したい』と伝えてきた。撤退したら終わりだった。絶対に止めなければならなかった」


週刊ダイヤモンド

「ただちに健康に影響を及ぼすものではない」

 ただちに、ということを言うなら、取り落としたワイングラスにだって、いくばくかの余命はある。即座に粉々に砕けるわけではない。細かく観察すれば、手を離れたワイングラスには、運動方程式に沿った長い落下の過程がある。しかも、着地に至るまでのすべて過程を通じて、グラスの形状は完全に保たれている。大丈夫、撃たれたからといってただちに死ぬわけではない。弾丸が届くまでには、なおしばらくの猶予がある。そういうことを彼等は言っている。


小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 世間に転がる意味不明

エール大助教授が東京電力の新聞TVへの広告禁止の法規制を提言

 エール大助教授が東京電力の新聞TVへの広告禁止の法規制を提言。東電は300億の赤字を出した年も、競争相手のいない独占企業でありながら年に286億の広告費と240億の販売拡大費をメディアにバラ巻き続けた。これだけ不祥事連発もマスメディアから東京電力を厳しく批判する声は少ない。(@soccerugfilez

『ネイティヴ・アメリカンの教え』エドワード・S・カーティス/井上篤夫訳(ランダムハウス講談社文庫、2007年)



ネイティヴ・アメリカンの教え (ランダムハウス講談社文庫)

 E・S・カーティスの撮影したネイティヴ・アメリカンたちは、静かな威厳を漂わせ、高貴な品格を感じさせる。そして自然と共生してきた彼らの語る言葉は、素朴だが時に厳しく、叡知に溢れている。イメージと言葉が詩的に一体化し、精神的癒しに満ちた至玉の一冊。

ヘンリー・ダーガー

 人生の後半の40年を、彼はシカゴの、6畳ほどしかない賃貸アパートの一室で過ごします。家族も友人もなく、たまに訪れるのは、教区の牧師だけ、という生活をダーガーは40年にわたっておくったのです。(中略)
(衰弱しきったダーガーを家主夫婦が救貧院に入所させる。家主の部屋を片づけようとしたところ、小説と挿絵が発見された。家主のネイサン・ラーナーは著名な写真家でダーナーの作品の価値が理解できた)
 研究者は、ダーガーがその小説を執筆したのは1910年頃から1930年にかけて、挿絵を描いたのはそれが完成した後、1930年代から1960年代にかけてだと考えています。彼は10代から20年かけて小説を書き、それから死ぬまでの間、その小説の挿絵を描き、そのまま椅子に腰かけて眠り、朝になって、仕事に出かけたのです。
 彼は、ほとんど本も読まず(本を買う金もなかったのです)、そして、絵や美術についてもなにも知りませんでした。ダーガーは、まったくの独力で、小説を書き、挿絵を描きました。ダーガーは、ごみ捨て場に行って雑誌や新聞を拾い、その中の写真や絵を斬り抜いて、模写することで、絵を学びました。だから、彼はその、雑誌の写真や絵になかったものを描くことはできませんでした。彼の描いた挿絵のたくさんの裸の少女には、男の子の性器がついていますが、それはおそらく、生涯、女性と付き合うことのなかった彼は、女性にも男性器があると信じていたからかもしれません。
 それから、小説です。ダーガーが書いた小説は、南北戦争のパロディでした。主人公は、「ヴィヴィアン・ガールズ」と呼ばれる7人姉妹のプリンセスで、彼女たちは、子どもを奴隷として虐待する「グランデリニアン」と呼ばれる卑劣な大人たちから、子どもを救出するため、キリスト教軍と共に戦います。だから、『非現実の王国で』は、およそ1万5000頁もある戦争小説なのです。


【『13日間で「名文」を書けるようになる方法』高橋源一郎朝日新聞出版、2009年)】







13日間で「名文」を書けるようになる方法 ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で

老眼鏡の発明は鎌倉時代

 フランシスコ会修道士のイギリス人、ロジャー・ベーコンが行った光学実験によって1270年ごろに生まれた老眼鏡は、早くも1290年にはアヴィニヨンの法王庁で使われ、1300年にはカイロのサルタンの宮廷で、1310年にはモンゴルの宮廷で使われた。
 これに匹敵する速さで普及した現代の発明は、19世紀に発明されたミシンと電話ぐらいだった。


【『プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか』P・F・ドラッカー/上田惇生〈うえだ・あつお〉編訳(ダイヤモンド社、2000年)】


 1270年といえば北条時宗が執権の頃。イノベーションを普及速度で計る視点は重要。


プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))