古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

アーヴィング・ゴッフマン、野口悠紀雄、宮城谷昌光


 2冊挫折、1冊読了。


 挫折13『スティグマの社会学 烙印を押されたアイデンティティ』アーヴィング・ゴッフマン/石黒毅訳(せりか書房、2001年)/文章が読みにくい上、構成が悪い。社会の差別構造は、社会学よりも進化論でアプローチすべきだというのが私の持論。理由は物語の再構成で差別意識を払拭することはできないからだ。まったく新しいインセンティブを考える必要もある。数十ページで挫ける。


 挫折14『1940年体制 さらば戦時経済野口悠紀雄東洋経済新報社、2010年)/狙いはいいのだが読みにくい。驚くべき事実を示しながら、無味乾燥な文章で綴られている。もう少しドラマチックにできないものか。半分を少し過ぎたところで中止。誰かがリライトすれば、ベストセラーになるかもね。


 28冊目『介子推宮城谷昌光〈みやぎたに・まさみつ〉(講談社、1995年/講談社文庫、1998年)/『重耳』を読み終えたので再読。宮城谷は後半に失速する癖がある。ラストで重耳が介推(かいすい)のことを知る件(くだり)もあっさりしすぎだ。孔子の弟子であった子路(しろ)と介子推は似ている。この清らかな正義感を知る人は少ない。陽報なき陰徳を損と考える人の方が多いことだろう。その浅ましさを私は嗤(わら)おう。

原発「津波に耐え素晴らしい」 原子力行政「胸を張るべきだ」 経団連会長が発言

 日本経団連米倉弘昌会長は16日、東京都内で記者団に対し、福島第1原発の事故について「1000年に1度の津波に耐えているのは素晴らしいこと。原子力行政はもっと胸を張るべきだ」と述べ、国と東京電力を擁護した。米スリーマイルアイランドの原発事故を上回る重大事故との見方が強いだけに、発言は波紋を広げそうだ。
 米倉会長は事故は徐々に収束の方向に向かっているとし「原子力行政が曲がり角に来ているとは思っていない」と発言。「政府は不安感を起こさないよう、正確な情報を提供してほしい」と話した。
 一方、日本商工会議所の岡村正会頭は同日開かれた定例会見で「放射能の放出は、国民が最も不安を抱く。正確かつ迅速な情報提供を望む」と要望。その上で「原発の建設基準を向上させるしかない。見直しの期間だけ、(建設が)延伸されることは当然起こりうる」と述べ、今後もエネルギー供給の一定割合は原発に依存せざるを得ないとの認識を示した。


どうしんウェブ 2011-03-17


 国家が甚大な被害を受けても尚、この国の経済界トップは自分たちの金儲けにしか興味がないと見える。テロを誘発しかねないので口をつぐむべきだ。

「海を見る自由」と「立ち止まる自由」

 学ぶことでも、友人を得ることでも、楽しむためでもないとしたら、何のために大学に行くのか。
 誤解を恐れずに、あえて、象徴的に云おう。
 大学に行くとは、「海を見る自由」を得るためなのではないか。
 言葉を変えるならば、「立ち止まる自由」を得るためではないかと思う。現実を直視する自由だと言い換えてもいい。


卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ(校長メッセージ)−立教新座中学校・高等学校

英紙も原発事故で日本政府批判 東電の隠蔽体質も指摘

 英紙インディペンデント(電子版)は16日、福島第1原発事故への不安が高まっている背景に東京電力の隠蔽体質があると指摘。ガーディアン(同)は日本政府の対応に批判が出ていると伝えた。
 インディペンデントはこれまで東電でトラブル隠しや修理、検査記録の改ざんなどの不祥事があったことを伝えた上で「東電は事実を伝えるという点に関して、堕落の歴史を持つ」と報じた。
 ガーディアンは、原発事故について「冷却装置の電力の復旧にもっと努力すべきだった」などと対応のまずさを指摘する識者の意見を紹介。東電の情報提供が遅く、少ないことが批判を浴びているとした。


47NEWS 2011-03-17