古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

吉村哲彦


 この名前がツイッターで散見されるのだが、どうも前の阿久根市長と似たタイプのようだ。安全なポジションから過激な発言で挑発するところは石原慎太郎っぽい。著作があるようなので、ひょっとしたら新しい宣伝手法なのかもしれない(笑)。

存在というもの

 二郎の勉強机の前に坐って、彼はそういうことを考えた。二郎はいい漁師になるだろう。三郎もまたいい漁師になるだろう。そこには存在というものがある。しかし僕は何になるだろうか。勉強をして、高等学校にはいって、それから何になるだろうか。何一つまるできまってはいないのだ。入学試験の試験官が、僕の答案に80点をつけるか60点をつけるかで、僕の運命はどんなふうにでも変ってしまうだろう。(「夜の寂しい顔」)


【『廃市・飛ぶ男』福永武彦新潮文庫、1971年)】


廃市・飛ぶ男

物語の拒否

飯沢(耕太郎)●荒木(経惟〈のぶよし〉)さんの場合には順序があるじゃないですか。ニセの順序かもしれないけども、物語に巻き込んでいく。森山さんの場合は、それが全然ないですね。物語的なものには興味はないですか?


森山●ぼくはもう、自分の写真ではそういうの拒否したいんです。それだけはいやだと思い込んでいるんだから。もうイメージってものに極力左右されたくないわけ。写真は複写(コピー)、そのことだけにこだわりたいですね。


【『森山大道、写真を語る』森山大道〈もりやま・だいどう〉(青弓社、2009年)】


森山大道、写真を語る (写真叢書)

小林ハルが生まれた日


 今日は小林ハルが生まれた日(1900年)。生まれてから100日後に白内障を患い失明。5歳で瞽女(ごぜ)に弟子入りし、以後20年間年季奉公と修行の日々を送る。9歳の時、旅芸人として各地を回り始める。26歳の時に修行を終え独立。1978年、人間国宝に。


鋼の女 最後の瞽女・小林ハル (集英社文庫) 小林ハル―盲目の旅人 最後の瞽女―小林ハルの人生 最後の瞽女 小林ハル 光を求めた一〇五歳


瞽女さんの唄が聞こえる [DVD] 瞽女うた 長岡瞽女篇 瞽女うたII/高田瞽女篇