古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

CIA以前

 アメリカに中央情報機関が置かれ、世界の隅々にまでスパイのネットワークが張りめぐらされ以前、そのスパイたちの役割を肩代わりしていたのは、民間の石油会社や投資銀行、それに法律事務所などのエリートたちであった。アメリカは真珠湾で日本軍による攻撃を受けて第二次世界大戦に参戦するわずか半年前に、中央情報局(CIA)の原型にあたる情報調整局(COI)を設置したが、それまではスタンダード石油やブラウン・ブラザース・ハリマン商会、それにサリバン&クルムウェル法律事務所などの役員を務めるエリートたちが、国際政治の舞台裏で暗躍し、アメリカの対外政策に大きな影響を及ぼしていた。


【『アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか』菅原出〈すがわら・いずる〉(草思社、2002年)】


アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか

時間は未来から過去へと流れている

 過去が現在や未来を決めているのだとしたら、現在や未来は過去に起こったことから生じる必然ということになりますから、私たちはそうやって過去からやってくる現在や未来を何もできずに黙って受け入れるしかないということになります。
 つまり、過去に起こったことが原因で、未来があるのだとしたら、過去は変えられませんから、現在や未来も変えられないということになります。ただ、創造主に与えられた情況を黙々と生き続けるしかありません。
 私はよく、「それでは人間はサーモスタットと変わりがないではないか」と言います。サーモスタットとは自動的に温度を一定に保つ装置のことです。熱くなったら冷やし、冷たくなったら温めるのです。そこに自由意志はありません。まわりの状況に応じて、物理因果により自動的に反応して行動するのです。私たち人間はそれでいいのでしょうか。
 改めて言います。「時間は過去から未来へと流れているのではなく、未来から過去へと流れている」のです。これは、現代分析哲学における結論でもあり、東洋哲学では、アビダルマと呼ばれる仏教哲学での古くからの主張でもあります。


【『夢をかなえる洗脳力』苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(アスコム、2007年)】


夢をかなえる洗脳力

『ドン・キホーテ』が刊行された日


 今日は『ドン・キホーテ』(上巻)が刊行された日(1605年)。スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスの小説。「人間の魂の最も深い、最も不思議な一面が、人の心の洞察者である偉大な詩人によって、ここに見事にえぐり出されている」とドストエフスキーは評した。



ドン・キホーテ 全6冊 (岩波文庫)