【ナイロビ共同】南アフリカの最大都市ヨハネスブルクや首都プレトリアがあるハウテン州で、男性の3人に1人を上回る37.4%が過去に女性をレイプした経験があるとの調査結果を、政府系の研究機関「医学研究評議会」(MRC)が26日、発表した。複数のメディアが伝えた。
今年サッカーのワールドカップ(W杯)を無事終了し、2020年にアフリカ初の夏季五輪開催を目指す南アだが、性暴力がまん延している実態があらためて浮き彫りになった。
調査は同州の男性487人、女性511人に実施。人口比率に基づき、調査対象者は黒人9割、白人1割とした。女性は25.3%がレイプされたことがあると回答、男性の7%が集団レイプの経験があると答えた。
レイプ被害は25件に1件しか警察に通報されていないことも判明。男性の78%が女性に対して何らかの暴力を振るった経験があり、女性は半数以上が暴力を受けたことがあると回答した。
MRCは昨年、クワズールー・ナタール、東ケープの東部2州で、男性の4人に1人以上が過去のレイプを認めたとの調査結果を発表している。
『増補新版 子供より古書が大事と思いたい』鹿島茂(青土社、2008年)
宗教的感化
ジョセフは馬小児(ましょうじ/※下僕の名前)に祈祷を教えた。ジョセフは毎日朝早く起きて、諳記している聖書の文句を繰返し唱えた。それを聞いている間に、馬小児の気持は次第に平穏を取戻して来た。ジョセフの様子にはいささかも取乱したところがなく、常に快活であり、下僕に対しても丁寧であった。頸と手につながれた重い鎖を、かたわらから支えてやろうとしても、着物を着かえる時と身体の運動をする時の外はいつもことわった。
――私は罪深い罪人である。この罪はこの世において贖(あがな)わなければならない。
こういってジョセフはひたすら、カトリックの戒律を守った。肉類は一箸も手をつけずにそのまま馬小児に与えた。獄中で暦もなく、日取りを間違えて精進潔斎の掟を破りはしないかと恐れたのである。独房の中は、もはや牢獄ではなくて神聖な宗教の道場であるかに見えた。
スーヌ一族の財産没収の結果、奴碑として主人の所有物にすぎなかったこの下僕馬小児も、当然ジョセフから取上げて他の新しい主人に下賜された。彼は独房の勤務から解放され、2年余の監禁生活から自由な社会に送り出された。しかし彼は別にそれを幸福だとも感じなかった。かえってこの思いやりの深い主人から離れるのが辛かった。彼は早速西洋人の天主堂に駆けつけて洗礼を受け、看守の兵隊に頼んで、高塀の穴から主人の面影を伺うのを唯一の慰みとしていた。
【『雍正帝(ようせいてい) 中国の独裁君主』宮崎市定〈みやざき・いちさだ〉(岩波新書、1950年/中公文庫、1996年)】