古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

石井光太、斎藤貴男


 1冊挫折、1冊読了。


 挫折65『物乞う仏陀石井光太文藝春秋、2005年/文春文庫、2008年)/文章はいいのだが姿勢が悪い。まだ若いせいなのかもしれない。貧しいアジア諸国身体障害者を傍観しているだけのレベルにとどまっている。足が20cmしかない美しい顔立ちの女性と性行為を試みて失敗した件(くだり)でやめた。彼女の心を蔑ろにしているように感じたからだ。何でも書けばいいというものではない。お前さんのキンタマを細かく描写したところで鑑賞には値しないよ。


 107冊目『消費税のカラクリ斎藤貴男講談社現代新書、2010年)/決定版と自画自賛している割にはわかりにくい。プレゼンテーションに問題あり。消費税に対する怒りだけは伝わってくるのだが、説明がすっきりしない。要は、仕入れ時にも消費税が発生するため、実体価格を値引きせざるを得ない中小小売業者が多いということのようだ。消費税が単純な仕組みでないことだけは理解できた。

東京ガス豊洲工場跡地の市場移転


 江東区豊洲東京ガスの跡地とは知らなかった。東京ガスは責任を問われないのか?

 東京ガス豊洲工場跡地に築地市場を移転する計画において、土壌中に環境基準を超えるベンゼン・シアン・鉛・ヒ素六価クロム・水銀等の有害物質が残存していることが問題となった。生活用の燃料ガス(一般に都市ガスと呼ばれることが多い)製造工場跡地では、天然ガス(LNG)へ移行する以前は石炭からの蒸留によりガスを製造しており、この際の廃棄物であるタールに含まれるベンゼンや重金属類、製造工程にて用いられる化学物質による土壌や地下水汚染が発生していることが各地で公開されている。東京の築地市場の移転計画においては、生鮮食品を扱う施設の土壌としての浄化を目標として敷地の土壌・地下水汚染浄化を行っていないことや、土壌汚染対策法で定められた有害物質以外にも健康に有害な物質があることが指摘されている。ここでは従来の土壌汚染対策では議論されていなかった、食品を扱う施設の地盤からの汚染物質の拡散や、施設内で扱う食品としての安全・安心の確保を求める消費者、それぞれのリスクが課題となっている。


Wikipedia

ジャイナ教の非暴力

 一般的にジャイナ教徒は農業を営まない。ジャイナ教徒は農業がジャイナ教の中心的原理である非暴力の実践に反すると考えている。彼らにとって、耕作のためとはいえ動物を使うことは暴力の一種である。土地を耕すときに昆虫を傷つける可能性もある。ジャイナ教徒は、蜂(はち)から食べ物を奪うという理由で蜂蜜(はちみつ)を用いるのも避ける。また、絹や皮の使用も生き物への暴力を伴うので望ましくない。


【『君あり、故に我あり 依存の宣言』サティシュ・クマール/尾関修、尾関沢人〈おぜき・さわと〉(講談社学術文庫、2005年)】


君あり、故に我あり―依存の宣言 (講談社学術文庫)

普段通りの暮らしを続けることが人々のインティファーダだった

 パレスチナといえば、私たちはたいてい、過激派による自爆テロを思い浮かべます。そしてインディファーダといえば、自爆テロか投石による抵抗運動のことだと思っています。
 でも、私が見たインティファーダは違いました。
 侵攻を受けて家を壊され、家族を殺されても、花を植え、パンの宅配を続ける町の人たち。冗談を飛ばし、大声で笑い、旅人をもてなす家族。
 爆撃を受けて壁に大きな穴が開き、外から丸見えの部屋で、人々はコーヒーを飲みながら家族や友人たちと過ごす穏かな時間を楽しんで、私と目が合うと「ウェルカム!」とミントティーを差し出したり、笑いかけたりしていました。ふだん通りの暮らしを続けること、それこそが人々のインティファーダ、抵抗運動でした。


【『「パレスチナが見たい」』森沢典子〈もりさわ・のりこ〉(TBSブリタニカ、2002年)】


パレスチナが見たい

生き延びるための併せ読み



生き残る判断 生き残れない行動

 9.11テロ事件、ハリケーンカトリーナポトマック川旅客機墜落、スマトラ沖地震……。私たちの記憶に深く刻み込まれた大事件・大惨事。本書はこれらの事件現場で、紙一重で生死の境目をかいくぐり、無事に生還した人々の生の証言である。一人一人が語る物語は詳細を極め、手に汗握る臨場感と迫力あるリアリティで事件や事故の様子が再現される。その主観的証言を裏付ける心理学・生理学などの関連研究結果やデータも豊富に提示し、緊急時の人間の判断力、災害への準備や対策、対処法など、有益な提言が盛り込まれている。



サバイバーズ・クラブ

 思いがけない災難に巻きこまれたとき、冷静に行動して生き延びる人がいる一方、不幸にも命を落としてしまう人がいるのはなぜか? 生死を分かつものとは、果たして偶然や「運」だけなのか? どんな事故でも、助かったはずなのに命を落としてしまう人がいるかと思うと、生存が絶望視される状況にあっても生還する人がいる。そんな生還者たちの共通点を見いだすべく、飛行機事故やフェリー沈没事故で九死に一生を得た人、事故で心停止に陥りながら奇跡的に回復した人など、実際に起きた事故の当事者を丹念に取材し、「サバイバーたちの秘密」を探っていく。だれもが「サバイバー」になれる……。一人ひとりが「生き延びる確率」を高めるため、今日から実行できる知恵も満載した、迫真のドキュメンタリー。

ココ・シャネルが生まれた日


 今日はココ・シャネルが生まれた日(1883年)。ドイツ軍による軍事占領に抵抗した結果、捕えられた末に拷問されたり戦闘によって命を落としたフランス人たちがいた一方で、シャネルはドイツの親衛隊少将と愛人関係を結び、自堕落な生活を送った。「ナチスに魂を売った売国奴」として嫌うフランス人がいる。


ココ・シャネルという生き方 (新人物文庫)


ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールがダゲレオタイプを発表した日


 今日はフランスの画家ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが世界初の実用的写真技法となるダゲレオタイプ銀板写真)を発表した日(1839年)。フランス学士院にて。写真は時空を超えた視覚である。人類は写真という千里眼を手に入れた。シャッターが切り取った瞬間を我々の眼は旅する。


写真のはじまり物語―ダゲレオ・アンブロ・ティンタイプ