古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

歩かないと背骨が弱まる

 そこで、背骨の骨が歩く歩かないによって、これほど影響されるのはなぜかということになるが、廃用性骨萎縮に関するいろいろな基礎研究からわかってきたのは、次のようなことである。
 骨には「物理的なストレス」、つまり骨に体重が加わる、筋肉でグッと引っ張られるという本来の意味のストレスであるが、そのような物理的なストレスが一定量加わっているのが正常な状態で、それによって骨のカルシウム代謝が正常に保たれている。ところがストレスがなくなると、骨はどんどん破骨細胞によって壊されていくのである。
 しかし、車イスに座っていても背骨には上半身の体重、つまりストレスがかかってくる。歩くのと座っているのとどこが違うのかと私たちも不思議に思って考えた。すると、両者は同じではない。歩くということは一歩ごとに、床にドン、ドンと体重が落ちる。それに対して「床反力(ゆかはんりょく)」という、床からの物理的な半力が起こる。体のほうから見れば、その床反力が足から骨盤、背骨を経て頭蓋骨にまで伝わっている。この衝撃こそ骨へのストレスにほかならない。


【『リハビリテーション 新しい生き方を創る医学』上田敏講談社ブルーバックス、1996年)】


リハビリテーション―新しい生き方を創る医学 (ブルーバックス)

平和記念像が完成した日


 今日は平和記念像画像)が完成した日(1955年)。長崎の平和公園に設置。北村西望(きたむら・せいぼう)制作。垂直に高く掲げた右手は原爆の脅威を、水平に伸ばした左手は平和を、横にした足は原爆投下直後の長崎市の静けさを、立てた足は原爆の恐怖を表し、軽く閉じた目は原爆犠牲者の冥福を祈っている。